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【『私が誰だかわかりますか』】

レポーター:ようこクリスピー

2019.02.16

『私が誰だかわかりますか』谷川直子
朝日新聞出版 2018.8.30
私が誰だかわかりますか
昨年末、母が亡くなるまでの
数年間の記憶がいろいろとよみがえってきた。
母はあれよあれよという間に要介護5になった。

常日頃、家事でせっせと体を動かし
30年以上テニスを楽しみ
5年に一度くらいしか風邪もひかない
そんな元気な母が介護される立場になるとは
夢にも思わなかった。

あまり体が丈夫でなく
ひょろっとやせた色白の父が
老老介護で母のお世話をするとは
考えもしなかった。

予想では
母はきっと父を介護し
父が亡くなった後
死ぬ直前まで元気でいる人なんだろうと
思っていたのに。

人生はこれでもかというほど
予定通りにいかせてくれない。

この本の登場人物が
介護する際に抱くダークな気持ちは
痛いほど理解できる。
愛情があってもやっぱり思っちゃう。
そして後で後悔し
なんて自分は狭量なんだと落ち込んだり。

この本の舞台は地方で
隣近所の顔が見える地域。
ただでさえ大変なのに「世間体」まで
気にしなくてはいけないとは。
介護って一筋縄ではいかない。

でもラストの語りは
主人公が介護で目覚めた境地が
胸に優しく突き刺さる。

親って教師になり、また反面教師になって
たくさんのことを教えてくれたけど
死ぬまで子どもに勉強させてくれるんだなと
頭が下がる。本当に感謝。



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